中国語で「ちょっと〇〇」…【一点儿 / 有点儿】の使い分け
「便宜一点儿吧。(もうちょっと安くして)」「我会说一点儿中文(中国語を少し話せる)」……などを表す【一点儿】と、
「今天有点儿冷(今日は少し寒い)」「我有点儿累(少し疲れた)」……などを表す【有点儿】。
先日咄嗟に口から出なかったので、改めてまとめなおし。 
※「ちょっと電気をつけて」「昨日ちょっと勉強した」などの「ちょっと」は「一下」、「一会儿」になるので、本記事では扱わずまたの機会にまとめる。
「一点儿 / 有点儿」の違い
这仵旗袍有点儿小,有大一点儿的吗?
この旗袍は少し小さい。もう少し大きいのはありますか?
一点儿
①名詞を修飾して、物事の量が「少し」ということを表す。
ただし、質問に対する答えなど、文脈から明らかな場合には名詞をつけずに単独で用いることもある。
「你学过汉语吗?」「学过一点儿(汉语)。」「あなたは中国語を学んだことがある?」「少し学んだことがある。」
 ②形容詞の後ろに置き、何かとくらべて差が「少し」あることを表す。
「这个大一点儿。」こっちの方が少し大きい。柴森(2011)「中国語 類義語使い分けドリル」p.212
意味上の「有点儿」との違いは客観的に比較した結果の「少し~」で、文法上の違いは[ 形容詞/動詞 ] の後ろに「一点儿」が来るということ。 
「胖了一点儿」(少し太った)、「冷一点儿」(少し寒い)、「我会说一点儿汉语」(私は中国語が少し話せる)…。
また、下記のように話し言葉では"一点儿"の"一"が省略されることがある。
太贵了,便宜点儿吧。
高すぎる。もう少し安くしてよ。
有点儿
形容詞や動詞の前に置き、理想的な状態や予想していた基準から「少し」ずれがあることを表し、主に望ましくないことに使う。
「这仵衣服有点儿大。」この服はちょっと大きい。
 「他对这儿的生活有点儿不习惯。」彼はここの生活にちょっと慣れない。柴森(2011)「中国語 類義語使い分けドリル」p.212
こちらは主観的&マイナスのイメージで、[ 形容詞/動詞 ] の前に置く。 
「有点儿不高兴」(ちょっと不機嫌)、「有点儿忙」(少し忙しい)、「这个问题有点儿难」(この問題は少し難しい)…。
「最近少し太った」は「有点儿」or「一点儿」?
「以前と比べてちょっと太っちゃったよ」………の時は「以前と比べて」だから「一点儿」?それとも「望ましくない状態になった」だから「有点儿」? 
疑問に思っていたところ、ちょうど「表現とことんトレーニング」に載っていました。
我最近有点儿胖了/我最近胖(一)点儿了。
前者は望んでいないのに太ってしまったというニュアンス。太りたいと望んでいる人が太った場合は後者になります。紅粉 芳惠, 史 彤春(2013)「中国語表現とことんトレーニング」p.156
要するに、どちらでも間違いではない(ニュアンスの違い)ということらしい。 
世の中には太れなくて悩んでいる体質の方もいるだろうが、おそらく誰かと会話するとき、ほとんどの人は前者の「有点儿+胖」表現が適切なのではないのだろうか…。
「有点儿」にしか見えない「一点儿」
这个手机还有点儿电。
この携帯はまだ少しバッテリーが少し残っています。
上の文章は「有点儿」なのに、前には「还(まだ)」という副詞、後ろには「电(バッテリー)」という名詞。 
意味から考えても「まだ少し残っている」というのは前述の「①名詞を修飾して、物事の量が「少し」ということを表す。」という「一点儿」の用法にぴったりのように感じる。 
実はこれは[ 動詞"有" + "(一)点儿" ]という、"一"が省略された形である。
"一点儿"はよく略して"点儿"になるため、"有点儿"と見えても、実は副詞ではなく、[ 動詞"有" + "(一)点儿" ]であるという場合も少なくありません。以下の例を比較してみましょう。
「这个手机还有点儿电。」この携帯はまだ少しバッテリーが少し残っています。動詞"有" + "(一)点儿"
 
「这个手机有点儿费电。」この携帯はちょっとバッテリーの減りが早いです。副詞"有点儿"
李軼倫(2014)「口からはじめる中国語《CD2枚付》: パズル式作文トレーニング」p.105
"费"は「消耗が大きい(激しい)」という意味の形容詞なので、上の例の後者は「形容詞が後ろに来ている」…つまり紛れもない「有点儿」ということになる。
参考書籍
今回の参考書籍はこちら。
同じ著者の類義語ドリルというものがもう1冊あったため、買うのはどっちか1冊で良かったかも?と思ったが意外と内容が被ってなかった。また、解説2ページ、ドリル2ページ、回答&解説1ページとコンパクトにまとめられていて読みやすい。解説は最小限&コンパクトにまとまっていて分かりやすい。
内容としては初級の人がレベルアップするための本という感じ。まだざっと読んだだけで全体の感想は分からないけれども、例文・問題の作り方が結構良さそう。 
語順が中々覚えられなくて、何か良い本はないかと思って購入した本。パズル式になっていて、パーツを組み合わせて分を作るという趣旨の本。一見、「~をください」「~はどこですか?」「~してもらえませんか」などの簡単な日常会話レベルに見えるが、上記の「"有点儿"にしか見えない"一点儿"」のように、中々有用な解説も付いている。 
ではまた次回。下次见!